BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
目眩に襲われながらも、今の言葉だけは受け流せなかった、みたい。
「やめて」
口走ったのは無意識。
「……は?」
「黒帝のこと……千広くんたちのこと、そういう風に言わないで」
大河くんの表情が露骨に歪む。
「なに洗脳されてんの」
「違うよ、洗脳とかじゃ」
「黒帝がまともだって言いたいわけ? じゃあ教えてよ。QUEENの存在を都合よく利用して行為を強要させる奴らの、どこがまともなのか」
「っ、……」
「ほら何も言い返せない。つくづく可哀想だな〜。安斉は寂しいんだよ、あんな連中をまともだと思い込まなきゃやってけないくらいにさ」
あっけなく涙が出た。
大河くんの言うことは正しい。
わたしだって今の黒帝の体制がまともだとは思っていない。
でも、千広くんを好きな気持ちは寂しさから生まれたものじゃない。これだけは断言できる。
まともじゃないからと自分で跳ね除けられる程度の気持ちなら、どんなによかっただろう。