BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-


大河くんとは、この街──帝区に越してきた日が同じで、さらにクラスまで一緒になった。

世間から浮いた無秩序な街では、初めはお互いが心強い存在だった。



生活に慣れたあとは、それなりに仲の良い友達ができては転校していって、また新しい友達ができて、の繰り返し。


初めから離れることがわかっているから、所詮は表面だけの付き合いでしかなく。



そういう割り切った関係が普通だったのと、世間一般と比べてみんなが恋愛に早熟だったのとで、
中二にあがった頃にはクラスメイトのほとんどに恋人がいる、もしくは、そういう遊び相手がいるという状況だった。


教室の隅で目立たずにひっそりと生きていたわたしは、もちろん無縁だったけれど……。



『ね、安斉。オレたちも付き合おうよ』



ある日突然。

中二ではクラスが離れた大河くんと、たまたま廊下ですれ違ってあいさつを交わしたついでにそう言われたのだ。
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