BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
本当に「ついで」という感じ。脈絡のなさすぎる話に、なんの冗談かとぽかんとしたのを覚えている。
恋もよくわかっていなかったわたしは『無理だよ〜』と、そのときは笑って答えたのだけど。
次の日、クラスメイトの女の子が、他クラスの複数の男の子に無理やり襲われるという事件が起きた。
その子はわたしと同じように隅のほうで大人しく過ごしているタイプで、彼氏も遊び相手もいなかった。
だから狙われた……とみんなが口を揃えていて。
『オレと付き合ってる、ってことにしといたら安心でしょ。断る選択肢なくない?』
そのとき、一時の恐怖に煽られはしたものの、わたしは断った。
──だけど数日後、あろうことか、本当にわたしがターゲットにされてしまったのだ。
空き教室に無理やり連れ込まれそうになったところを、間一髪で大河くんが助けてくれた。
そして、大河くんはその際、大怪我を負ってしまい。
『安斉のこと諦めきれない。おれと付き合って、ずっとそばにいてよ』
怪我をさせてしまった負い目から──頷いてしまった。
そのことをずっと……ずっと後悔している。
当時からみんなの噂の的だった松葉千広くんと、くじ引きでとなりの席になったのは、
同日、5限目のホームルームでの出来事だった――。