BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
「冽君の名誉のために一応言うと、別にヤバい薬じゃねーよ? ぜんぜん合法。ただ重度な薬草オタクってだけ」
「薬草オタク……」
初めて聞いた……。
手作りの精力剤(のようなもの)を無理やり飲まされた身としては、”ヤバくない”と言われても正直信じがたいけど。
よく考えれば、薬をつくれるってかなりすごい。
膨大な知識と経験と技術がないとできないことだと思う。
「ね~僕はなんと言われようと構わないけど、ほんとに千広クンどこ? 新作の薬を見てほしくてずっと待ってたんだけど」
可哀想だから代わりに答えてあげたいけれど、千広くんがどこにいるのか、わたしも知らないのだ。
黒帝に帰り着くなり、絹くんに何かを耳打ちしてどこかへ行ってしまった。
「うるせーからもう行こーぜ。安斉サン」
「あ、はい……」
つい勢いで頷いてしまう。
肩を抱かれてハッとした。
「っえと、行くってどこに……」
「ベッドルーム」
見上げた先にはーーにやりと笑う顔があった。