BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
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「QUEENになるのが嫌で逃亡を図った女ってお前?」


厳つい扉をくぐると、黒髪にヘアバンドをつけた男の子が現れた。

不機嫌に眉を寄せて、上から下まで品定めをするように見つめられれば、背筋にぴんと力が入る。



「あ、えーと、安斉あやるです。今日からお世話?になります」

「ヘンな名前」


「はあ、どうも」

「今までどんなに可愛いQUEENが来ても、しらーっとしてた千広さんが、珍しく“心当たりがある”とか言って探しに出ていくから、一体どんな美人なんだろって期待してたのに。ただのモブじゃん」


モブ……。

うう、ほら、やっぱり。他の幹部の人にもハズレくじだって思われてる。
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