BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-

「QUEENになってまだ一度たりとも抱かれてないって……あやるちん伝説だよ」

「あは、あはは……」

「てかなにより、千広様とあやるちんが元クラスメイトなの激アツすぎるーっ!!」



目をキラキラさせながら息をつく暇もないほど喋り倒すヒナタちゃん。

周りに聞こえていないかハラハラしながら、わたしはおにぎりを食べ進める。



「千広様を好きになったきっかけは? やっぱ席が隣で話すようになった感じ?」


「んー……いや、最初は全然話さなかったんだよね。なんか怖そうな男の子だなあって、なるべく目合わせないように避けてたかも」


「えーっ! 待って、そこからどうやって絡みが生まれるの!?」



まさかこんなに詳しく話すことになるとは思っていなくて、どぎまぎする。

だけどそれ以上に、初めて友達と好きな人の話をできることが嬉しかった。



「ある日偶然、放課後にばったり千広くんに会って……──」

「どこでどこでっ?」



そう。

千広くんと初めて話したのは、教室、ではなく。
< 257 / 309 >

この作品をシェア

pagetop