BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
「それで、当然、最初は無言で。緊張と気まずさのあまり、千広くんに『ポテチ食べる……?』って」
「聞いたの!?」
「そう、聞いちゃって! でねっ、無視されるかなって思ったんだけど、千広くん一緒に食べてくれて……う、嬉しかった」
「っ、ううカワイイ〜〜カワイすぎる!! 保護したい!!」
思い出すと今でも恥ずかしい。
まともに喋ったこともない同級生と、非常階段の下で雨宿りしながらポテチを食べる。
なんともおかしなシチュエーション。
ちなみにのり塩味だった。
味まで覚えてるなんて我ながらびっくりする。
「こんな生き生き喋るあやるちん初めて見たあ。めっちゃ好きじゃん千広様のこと」
「っ、ぅ、そうかな……いや、そうだよね……」
「きゃ〜っ」
……うん。すごく好きだった。
──だから忘れるために必死だった。
「いつ告白するの?」
「……へ?」
「告白だよ告白。QUEENなんだから、今が一番チャンスでしょ」
「いや、そんな、告白なんかできるわけ……」