BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
にこりと笑う相手の顔がすぐ近くにある。
う、わ。……押し倒されている。
「冽君。抜け駆けなんて、お行儀わりーぞ?」
「えーん怒んないで? この子、僕好みだったものでつい」
ソファに座っていたもう1人が腰を上げる。
のんびりとした足取りで近づいてきたかと思えば、わたしに覆い被さっていた人の首根っこを掴んで、ソファの上から引きずりおろした。
「ごめんな。うちの冽君、節操ねぇんだわ」
そう言うから、当然、助けてくれたんだと思って。
「あ、どうも、ありがとうございます……」
「初対面でいきなりソファはねぇよなあ?ベッドはあっち。ついて来な」