BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
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松葉の家に産まれたときから死んだように生きてきた。
人が笑うのを見ても泣くのを見ても何も感じなかった。
毎日、夜の奥底で冷たく息をしているような感覚。
松葉の人間はヒトを愛せないと、大昔から言われているらしい。
愛せるわけがない。
そういう風に育てられた。
だけど。
あやるといるときだけは
自分の心臓の音が、たしかに、はっきり聞こえて
──生きてると、実感できた。