BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
夜 明






「安斉あやるです。今日からよろしくお願いします」



赤帝高校の教卓前で自己紹介をしているとき、外では激しい雨が降っていた。


チョークで書いたあの文字は、とっくに消えてしまっただろうな……。



ぼんやりと考えながら席につく。


噂には聞いていたけれど、赤帝高校の治安の良さは想像以上だった。

同じ帝区内にある学校とは思えない。


ホームルームがきちんと開催されるのはもちろんのこと。


わたしの一つ前の席を除いて、朝からみんな着席していたし、

スマホを触っている生徒はいても、先生が話しているときに騒ぐ人は誰ひとりいなかった。


転入転校はここでも珍しいことではないはずだけど、休み時間になるといろんな人が話しかけにきてくれた。
< 295 / 309 >

この作品をシェア

pagetop