BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
期待なんかもうとっくに捨ててるし、大丈夫。
今さら、傷つくことなんて……。
「ほら、早く行こ? 奥の部屋、すっごいお金かけてあるから、お姫様も気に入ると思うんだよね」
さっき、わたしを押し倒していた──冽くんと呼ばれていた彼が、相変わらずにこやかに誘ってくる。
抵抗しようとは思わなかった。そんな気力もない。
黒帝にいる以上、嫌だという気持ちよりも、諦めのほうが勝ってしまうから。
「あっ。自己紹介まだだったような気がするね。 僕は今屋敷 冽。きみと同じ2年だけど、知ってた?」
「いまやしき、れつ、くん」
そういえば、と思い出す。
ヒナタちゃんが、幹部の中で、レツ様が好きって言ってたような。