BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
逸らされるまでの間、わたしは息を止めていたらしい。
酸欠になっていたのか、一瞬くらりと目眩がした。
すう、はあ、と呼吸のテンポを整える。
胸のあたりからじんわりと熱が広がっていくのがわかって戸惑った。
千広くん、カワイイって言ったこと、否定しなかった……。
「じゃあ僕は、るーちゃんって呼ぶね?」
冽くんに顔をのぞき込まれたことで、はっと我を取り戻す。
はい、と勢いで返事をしてしまったけれど。
「るー、ちゃん?」
「あやるのるを取って、るーちゃん。どーしたの、気に入らないの?」
「いや、珍しいなあと思って。その部分を取られたの初めてだし、みんなには、いつもあやちゃんとか、あーちゃんとか」
「うーん、僕の元カノに、あやちゃんもあーちゃんもいるからややこしいんだよね」