BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
猫をあやす手つきで頬を撫でる千広くんは、なにが面白いのか、くすりと笑って。
「お前が抵抗しないの新鮮でいーな」
「……てーこう?」
「中学んとき、いつもツンツンしてだだろお前」
「ツンツン……わたし、が?」
思い返してみても、そんな態度をとっていた覚えはない。
隣の席の千広くんに毎日なにかと意地悪をされていて、でもそれが嫌だと思ったことは一度もなかった。
たしかに口では、やめて、しないでと言っていたような気もするけれど……。
「周りの男、“安斉さんはおっとりしててカワイー”とか言ってたけど、俺としてはどこがだよって思ってたな。すぐ怒って凶暴だったし」
「………」
そっか、中学のときの千広くんの目に、わたしはそういう風に映ってたんだ。
ツンツン、すぐ怒る、凶暴……。
可愛いとは真逆……だ。