BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
さっきの涙に紛れて、また、ぽたりと落っこちる。
「泣くほどきついのか」
千広くんがそう思っているなら、それでいい。
都合がいいし、きついというのも、あながち嘘じゃないから。
飲まされたくすりがどんどん体を侵していく。
速まる鼓動も、千広くんに対してなのかくすりのせいなのかわからなくなってしまった。
でも、大丈夫だって言わないと……
千広くんの手をわずらわせてしまう。
「全然なんともない……帰る、帰ります」
ソファに手をついて、立ち上がろうとしたものの、思うように体が動かない。
少し腰を上げれば、目がくらむ。
「う……」