BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
バランスを崩した体は、意思とは裏腹に千広くんの方へ倒れていく。
「危ねえな」
すると必然的に、千広くんの腕の中におさまる形になり。
「無理だ。冽の薬飲んだらしばらくは動けねぇよ。もう少ししたらまともな思考もできなくなる」
抱きとめてくれた手にぎゅうっと力がこもった。
それだけのことなのに、おかしいくらいにそこに熱が集中して、びくっと腰が浮いてしまう。
や……っ、なんで?
「ち、ひろくん……っ、なんか」
──体、熱いだけじゃなくて、ヘンな感じ。
恥ずかしいから離れたいのに、離れようとすればするほど力が抜けていく。