BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
「あの、千広くん、わたしほんとに……」
少し考えて、押し黙る。
本当のことを伝えたところで、何になるんだろう。
千広くんからしてみれば、そんなのどっちだっていいはずだから。
「言いかけて黙るのやめろ」
「ごめ、なさ……。でも、ほんとになんでもない」
「なんでもなくても言え」
「………」
「言えねーの?…… ああ。本当はもしかして、あの場で手荒なマネされたかったのか? こーいう風に、」
ベッドにわたしをおろすと、冗談じみた笑顔を浮かべて、千広くんが制服のリボンに手をかけた。
指1本でするりと解いて、そのままシャツの隙間に忍ばせようとする。
「や……っ? 千広くんっ?」
あくまで冗談、らしい。
肌に直に触れられることはなく、触れるか触れないか、ぎりぎりのラインを、指先がなぞるように動く。
実際は違うのに、その手つきを見ていると不思議なことに触れられているように感じて……。