BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-
じゃあ昨日は、薬を飲まされたあと、わたしはただ眠っていただけ?
体にも、幹部の人たちに乱暴をされたような感覚は残っていないし……。
──と、部屋を見渡したときだった。
「あ、起きました?」
そんな声と同時、部屋の扉が開いて、心臓が止まりそうになる。
「おはよーございますモブ子先輩。昨夜はどんな感じだったんですか? オレ超気になります〜」
こちらの返事も待たずに、親しげな笑みを浮かべながら近づいてくるのは
たしか、BLACKで唯一の1年生幹部──名前は、椎名開吏くんだったはず。
「もぶこ……?」
「あやるサンのことですよもちろん」
「あぅ、そうだよね、わたししかいないもんね」
「怒らないんですか? こんな呼び方されて」
「へ? ああ、べつに本当のことだし、いっかなあと」
「は〜なんだそりゃ。オレは怒らせようと思ってわざと呼んだのに」