違いませんが、 違います‼︎
「坂本さん‼︎」
出来ませんでした。
「これ、入力よろしく‼︎私、忙しくって」
またですか?
何かと入力作業を依頼してくる秘書課の根津さんが資料を指差す。
「わかりました。急ぎですか?」
「今週中に私に戻してくれればいいから」
山積みされた資料を受け取り、立ち去る。
これ以上、巻き込まれては堪らない。
遠くてクスクスと笑い声が聞こえる。
学生時代を思い出して嫌な気分にはなるが、時給が発生している間は我慢出来る。
お金さえ頂ければいいのです。
彼女達は大学を出て正面入り口から入ってきた人なので、いるだけで会社に利益をもたらす縁故の持ち主だったはず。
私とは違う。
それに
「また押し付けられて」と変わりに怒ってくれる人もいます。それだけで、十分です。
「大した事ではないので、大丈夫ですよ。急ぎの仕事はお断りしてますし」
ちゃんと時間内に収まるように、無駄な残業をしないようにしているので大丈夫です。
それでも三枝さんは不満そうです。
「あんまり頻繁に言ってくるようなら、ちゃんと言ってね。職務怠慢よ!」