違いませんが、 違います‼︎


慌てて根津さんから預かったデータに目を通す。
最後もう一度確認すればお返し出来る状態に、過去の自分を褒めたいと思います。

いつもは根津さんが最後に確認するだろうと、手抜きをしていた部分を修正する。
持っていったらきっと、直で確認するだろう。そこで使えないと判断されては堪らない。

そうだ。
なんで私が持っているか聞いてくるに違いない。
なんて答えよう。


手が空いていた。これが無難か?
忙しい根津さんの手伝いを勝手出ていた。

それぐらいで余分な事を言わないのが正解かも。


なんとか仕上げ、USBに移し葉山さんの元へ向かう。

ノックをしても返事がない。
サクッと机の上に置いて帰ろうか?

どうすればいいか、三枝さんか南沢さんに声を掛けてからこればよかった。

反省です。


どうしようかと思案していると

「お疲れ様です。何かありましたか?」

と声が聞こえた。
メデューサ葉山。目を合わせてはいけない。

「先程、葉山さんが探していたデータです」

USBを差し出す。

受け取ったらすぐに立ち去ろう。
そう決意しても、葉山さんの方が先に

「中身を確認させて下さいね」

優しく口調で呼び止められた。

中に入る様にエスコートされる。

「扉は開けておいて下さい」

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