違いませんが、 違います‼︎


きっと前世は貴族で公爵家の人間だったに違いない。
須藤さんが王で、その宰相か。


俺様王様須藤様の要望を微笑みながら叶えていく。
屍の上の王様イスに座る須藤様の横に立つメデューサ葉山。怖っ。

葉山さんが側近なら、私は村人4か5。
屍の山の中腹ぐらいの死体だ。
まだ死にたくない。


入り口近くで大人しくしていて、確認が終わったらダッシュで逃げよう。

「はい」「いいえ」「大丈夫です」

最低限の返事だけはしないと。
ご機嫌を損ねないように。
曖昧に濁してはいけない。
はっきりとかつ最小限に。


「これは坂本さんがまとめたの?」


突然名前を呼ばれ、思わず顔を上げた。
何故村人の名前まで知っている。

葉山さんが自分の胸元を軽く指で叩く。

自分の首にぶら下がっている社員証に気付き「あっ」と声を漏らす。

そして「はい」と小さく返事をした。

「でも、これ根津に頼んだ物だよね。なんで君が?」

こっちを見ている。笑顔で人を殺す男。怖いよぅ。

「怒っているわけではないんだ。
とても良く出来ているものでね」

これは言葉通りに受け取ってはいけないパターンだろうか?

「ね、根津さん。いつも忙しいようで。負担を少しでも減らす為にお手伝いをさせて頂いていて」

はっきりとと言いつつ、あやふやになるような言い回しをしてみる。
ものは試しだ。
誤魔化されてくれないだろうか?

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