違いませんが、 違います‼︎


扉の外から声が聞こえる。

「ほんと?」
「ホントだよぅ。葉山さんだって一緒にいたんだから!」
「じゃぁ、結婚一年でスピーチ離婚⁉︎」
「チャンスじゃないですか!」
「慰めからの発展」
「ドラマみたーい」

話の花を咲かせる根津達。
こんなにはっきり聞こえるんだ。
妙に関心をした。

防音とかなってないんですね。
秘密な話が出来ませんね、お代官様。


そんなくだらない事を考えていると扉が開いた。

根津さんが叫ぶ。

「何してるんですか!」「勝手に触らないで下さい」「最低」

それに同調する女子社員。
この場合、取り巻きと言っていいのでしょうか?

 状況を説明しようとヒートアップしている彼女達の耳には届かないような気がした。

黙っていると

根津さん達の後ろに葉山さんの姿が見える。


「私がお願いしたのですが」

根津さんたちの動きが止まる。
今、タイミング見計いましたよね。

「おはようございます。始業時間は、とっくに過ぎていますよ」

今来たばかりと爽やかに挨拶をすれば、皆散らばって行く。

葉山さんパワー凄い。

残された根津さんは、何もなかったと

「おはようございます。葉山さん。昨日は大変でしたね」

と会話をはじめる。

何もなかったかの様に振る舞う根津さんのメンタルも凄い。
大人の黒いやり取りを垣間見ている気分です。
怖いです。ここから立ち去りたいです。

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