違いませんが、 違います‼︎


隠れてニヤけていると内線が鳴る。

一目散に出た根津さんが

「専務がお着きになりました」

と嬉しそうに声を張った。

きゃぴと後ろに文字が見えそうです。
可愛い自分に自信があるんですね。
羨ましいです。

2人揃って出て行く。

私はどうしたらいいのでしょうか?

とりあえず、これを片付けて終わないと。

戻ってくる前に終わらせたかったが、間に合わなかった。

須藤さんと目が合う。

作業を止め「おはようございます」と頭を下げた。

フッと声が聞こえる。

今、鼻で笑いましたよね!

不服そうに睨んでみれば「続けてくれ」と奥の部屋に入って行く。

よくわかりませんが、ご機嫌な様です。

よかった、よかった。
安心して作業に戻ります。

後から来た葉山さんも奥に行ってしまい、根津さんと2人になってしまった。

特に話す事もないので、黙々と作業をこなす。


すると、颯爽と葉山さんが前を通り過ぎていく。
待ってました!

と立ち上がると、扉を少し開け、覗き込みながら

「コーヒーお持ちしますね」

と須藤さんに声をかける。

右足が上がってます。
細部までの拘り、さすがです。

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