違いませんが、 違います‼︎


「それぐらいにしてあげてよ」

斉藤さんが参戦しております。

あんなに落ち込んじゃってかわいそうんじゃないか。
最後のチャンスだと思って助けてあげてよ。


あれはフォローですか?貶しているんですか?
見ている分には楽しいです。凹んでいる須藤さんにドンマイと言ってあげたい。


「それにしても、山野のお嬢さんが作家さんなんてビックリだね。一度読んでみたいなぁ」

斉藤さんが目を大きく見開く。

「山野のお嬢さんが【山神 サト】‼︎」

一瞬、静寂が訪れた。
社が騒めく。 

私も空いた口が塞がらない。

「この前新作買ったばっかり」
「今度カイ君主演で映画やるの原作者だよ」
「佐藤さんも読まれたんですか!」

周りのトーンも上がる。


「よし。ここは任せろ。迎えに行って、土下座して謝って来い」

斉藤さんが須藤さんの肩に手を乗せる。

「ちなみに私はデビュー作から初版で買っている自他共に認める山神マニアだ。サイン本が欲しい。握手がしたい」

羨ましいです。
名前が着く役はそんな特典があるんですね。


「微力ながら、私も手伝いますので、サインが欲しいです」
「私も」

次々に手が上がる。
村人さん達にもその特典はわけて貰えるのでしょうか?

俺の屍を超えていけ

という割には誰も動きません。

もしかしてどこにいるのかわからないのでしょうか?

< 32 / 58 >

この作品をシェア

pagetop