違いませんが、 違います‼︎
「それぐらいにしてあげてよ」
斉藤さんが参戦しております。
あんなに落ち込んじゃってかわいそうんじゃないか。
最後のチャンスだと思って助けてあげてよ。
あれはフォローですか?貶しているんですか?
見ている分には楽しいです。凹んでいる須藤さんにドンマイと言ってあげたい。
「それにしても、山野のお嬢さんが作家さんなんてビックリだね。一度読んでみたいなぁ」
斉藤さんが目を大きく見開く。
「山野のお嬢さんが【山神 サト】‼︎」
一瞬、静寂が訪れた。
社が騒めく。
私も空いた口が塞がらない。
「この前新作買ったばっかり」
「今度カイ君主演で映画やるの原作者だよ」
「佐藤さんも読まれたんですか!」
周りのトーンも上がる。
「よし。ここは任せろ。迎えに行って、土下座して謝って来い」
斉藤さんが須藤さんの肩に手を乗せる。
「ちなみに私はデビュー作から初版で買っている自他共に認める山神マニアだ。サイン本が欲しい。握手がしたい」
羨ましいです。
名前が着く役はそんな特典があるんですね。
「微力ながら、私も手伝いますので、サインが欲しいです」
「私も」
次々に手が上がる。
村人さん達にもその特典はわけて貰えるのでしょうか?
俺の屍を超えていけ
という割には誰も動きません。
もしかしてどこにいるのかわからないのでしょうか?