違いませんが、 違います‼︎


少し中座した間にこの人。寝てるよ。

「帰りますよ」ゆすっても起きない。

マジですか!

強めに叩いても、「うーん」唸るだけで起きない。

これ、どうしろと?

どこに住んでいるかなんて知らないし、荷物を漁る趣味もない。
そもそも泥酔の人間を1人タクシーには乗せれない。

お店の人に協力を仰ぎ、タクシーに乗り込む。

大きな出費だけど、仕方がない。

家に連れて帰る。

運転手さんの手もかり、部屋まで運んでもらい上着を脱がし、ベッドに放り込む。

本当に申し訳ない。全部この酔っ払いが悪いんです!


人のベッドの上で丸くなる葉山さんを見て、急に冷静になる。

弟以外の異性がこの部屋に来た事はない。
私の城だ。

掃除だって適当だし、趣味満載の部屋。

とりあえず出ている本や朝のままだったシンクの中を片付ける。

シャワーを浴びたいが、弟以外の異性のいる部屋。抵抗がある。

それでも、化粧だけは落とさないと

鏡に映る自分を見る。

人生初のお持ち帰り。してしまいました。

葉山さんがいる


それだけなのに落ち着かない。

タオルケットに包まって眠る葉山さんを見ながら溜息を吐く。

どうしたものか?

誰かに相談したくても、時間が時間だし
そもそも相談する相手などいない。

しかも今日は金曜日。

「仕事‼︎」とか言って慌てて追い出す事が出来ない。

このまま朝、葉山さんをもてなすのか?
絶望だ。
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