違いませんが、 違います‼︎


一気に捲し立てた。

一つ一つは大した事はないが、その蓄積が心を蝕んでいく。

卑屈な自分に戻りたくない。

膝の上で両手を握り締める。


ぎゅっと抱きしめられて、いい匂いがした。

「千枝ちゃんに足りないのは、自信だよ。
自分を愛してあげる自信。自分には価値があると思う自信。
千枝ちゃんの事を好きだって思う人がいるっていう自信」

そんな自信はない。

首を振ると、両手で頬を挟まれた。
三枝さんと目が合う。

「私は千枝ちゃん、大好きだよ。
誰にもで出来る仕事だけど、誰かがやらないと回らない仕事をちゃんとやってる。
うちの部署にはなくてはならない存在だったんだよ‼︎
それが、あの葉山が‼︎」

「正直、千枝ちゃんを知った時は、“何それ”って思ったよ。
だって、私は大手で働きたくて頑張ってこの会社に就職したんだから」

南沢さんのように思う方が大半です。
良く言われました。


「でも、実際に千枝ちゃんと働いていると、学歴っていうほど重要ではないって感じる事の方が多いよ。
 特に内勤はね。いくら見た目が良くって、学歴があったって、根津さん達みたいな子は絶対にいるからね」

あの子達、あれでも全員東京6大学出身よ

吐き捨てるように南沢さんが言う。

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