違いませんが、 違います‼︎


「本当はね」

クスクス笑いながら三枝さんが教えてくれた。

私が呼ばれたあの日。
本当に人手が足りなくて、誰でも出来る仕事だから短期で派遣を入れて欲しいと斉藤さんにお願いしたそうだ。

すぐに人手が欲しいなら、ちょうどいい子がいる。

それで呼ばれたのが、私だった。

誰にでも出来る仕事を数日間だけ。
だと思っていたけど、みんなのちょっとした仕事を手伝ったでしょ。

コピーしたり、シール貼ったり

それだけなら誰でも出来るけど、千枝ちゃんはほんのちょっとだけど手の届かない所に手が届く手伝いをしてくれたの。

次の人が困らないようにしてくれたり、足りない部分をはっきり明記してくれたり

そう言う事の積み重ねが大きなミスに繋がるものなの。


だから、みんな千枝ちゃんに頼るようになったのよ。
千枝ちゃんだからお願いしたの。


斉藤さんは紹介しただけ。

いて欲しいと望んだのは、みんなの総意だよ。


胸の奥が熱く苦しくなった。

三枝さんに抱きつく。
涙が出る。
三枝さんがヨシヨシとしてくれた。

「葉山さんを一度懲らしめないといけないわね」

ダーク南沢になっています。

懲らしめるんですか?
排除ではなく。

「そうね」

三枝さんも同意しないで下さい。
私は元の場所に戻してくれればそれで!

「千枝ちゃん‼︎」
「はい」

連休の予定は?
実家に帰ってこいと言われています。

正直に話すと「それよ」「それね」と二人が目を合わせて頷いています。

それがなんですか!怖いんですけど!

「千枝ちゃん‼︎」
「はい」
「私たちに任せなさい‼︎」

それが一番怖いんですけど!

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