違いませんが、 違います‼︎
料理も並び、みんなが座った所で、葉山さんが
「改めまして」と正座をする。
「千枝さんとの結婚を許して頂けないでしょうか?」
頭を下げる葉山さん。
今、結婚って言いました?
「人に頼る事の苦手な娘ですが。こちらこそよろしくお願いします」
涙ぐみながら、両親が頭を下げている。
キョロキョロしていると
「本当にいいんですか?返品されても困るんですけど」
一人冷静な宗二がコレと私を指差す。
「一度手に入れたものは、ずっと大事に使う性分なので、返品はないと思いますよ」
微笑む葉山さん。
とんがった割には、すでにビビっているし。
小童が宰相に敵うわけがない。
「自分の事よりも、相手のことばかり考えている千枝さんを自分の事よりも大事にしたいと心から思ったんです」
そこ口笛を吹かない!
辱めもなく、さらっと言わないで下さい!
慌てふためく私の頭に優しく手を乗せる。
「ちゃんと後で説明するよ」
優しく甘い声で言う葉山さん。
体温が急に上がった気がした。
弟達が調子に乗る。
懐きようがひどい。根掘り葉掘りだ。
私の知らない事まで聞き出そうとしている。
この子達は【親しき仲にも】と言う言葉を知らないに違いない。後で、土下座して謝ろう。
こんな兄がいたら大層自慢なのだろう。
学歴も職歴も勝ち組の男だ。
葉山さんは
「私には須藤という指向があったので」
と謙遜をする。
その須藤さんについていけるだけ凄いと思うのだが。
出来る男の謙虚しても嫌味がない。