違いませんが、 違います‼︎
「葉山さん。一体どういうつもり何ですか‼︎」
机を叩き、強気に出た。
「これでも飲んで落ち着いて」
これまた父から持たされたお酒を出される。
葉山さんは飲まないでくださいね。
寝られては困ります。
念を押し、出されたお酒を一気に飲み干す。
ニコニコと微笑みながら、私を見る葉山さんに毒気が抜かれた。
「正面から言っていこうかとも思ったけど、千枝は絶対に信じないと思ったんだよ。逃すつもりはなかったから、「はい」っていう状況にしてしまえばいいと思って。
千枝が怯えているもの全てから僕が守ってあげたい。
「ここにいていいよ」っていう場所が欲しいなら、僕がいつでも「ここにいて」って言うから。
僕と結婚して下さい」
私の目を真っ直ぐに見ていう葉山さん。
つい「私なんかでよろしければ」と返事をしてしまった。
「踏み込んで、どっぷり浸かって、後ろを振り向いた時にようやくその物事の真意が見えてくるんだよ。
その時にはもう後戻りなんて出来ない。
そこまで、千枝を連れ込んでしまえないいってね。
あぁ、よかった。
これでダメだったら、どうしようかと思っちゃった。
千枝は怖がりだから、ある程度答えが出ている状況まで持ってきてから言った方がいいでしょう」
へてっと笑う葉山さん。
違いませんが、なんか違います。
この人、怖いです。
落ちてはいけない場所に落ちてしまった気がします。