遊郭の花嫁
 


「人ならざる者の雄は、清らかな魂を持った人の女を(めと)ることで、より強い力を得ることができる」


ふたりの間に生まれた子も賢く雄弁(ゆうべん)で、帝都にて数多(あまた)の輝かしい功績を残したという。

以降、人ならざる者の男たちの多くは、人の中から生涯の花嫁を探すことに躍起(やっき)になった。

けれどそのうち、手当たり次第に人の女を(さら)う、人ならざる者が現れはじめる。

事態を重く見た現世と帝都の両政府は、〝とある場所〟以外での花嫁探しを禁ずる(おきて)を定めた。

すべては安寧秩序(あんねいちつじょ)を守るため。

こうして、人ならざる者が、花嫁となる女を探すために訪れる場所として、苦界(くがい)と呼ばれる花街・遊郭(ゆうかく)、〝帝都吉原〟は創られた──。



 
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