ANOTHER WIND~もう一人の主人公~
切り株にいった。
物凄い高さからいった。
頭からいった。

命があるはずがない。
でも目でものを見ている。
身体でものに触れている。
音も聴こえる。
匂いもする。
味は―――味?

あ、痛い。
痛いって。
つっつくな。
いや、つっつくなって。

「つっつくなっての!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」





「まさか生きてるとは思わなんだ。そりゃつつきもするわ」
「開き直んなよ。大声出すからおれがびっくりしちゃったよ」
「にーさんどっから来たの?」
「空」
「へぇぇ」

小学1・2年生くらいの女の子。
よほど貧乏なのだろうか。最近じゃあまり見ない布切れのような服を着ている。

「ね、ここどこ?」
「相模国だよ?」
「え?」


耳を疑った。
――相模国って…何百年も前の神奈川の地名じゃないのか?
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