紳士な御曹司の淫らなキス~契約妻なのに夫が完璧すぎて困っています
「もちろん今のぼくの最高の癒しは、紫さん、あなたですから」
こういう恥ずかしいことを真顔でさらっと言えるところが恐ろしい。
料理が半分くらい進んだころ、薫さんは椅子の下に隠していたプレゼントをわたしにくれた。宝飾品のようだった。蓋を開けるとダイヤが三つ繋がったネックレスが入っていた。
「え、これ高かったんじゃないんですか?」
「あなたに似合うと思って」
嬉しさよりも恐れ多い気持ちが大きかったけど、薫さんのプレゼントなので素直に受け取ることにした。わたしは自分のプレゼントを取り出した。
「あの、わたしはこれなんです」
わたしは自信なさそうに言った。わたしが取り出したのは、家庭用のプラネタリウムだった。
「祥子さんに昔、薫さんをプラネタリウムに連れて行ったらすごく喜んでいたと聞いたので……」
薫さんは幸せそうに微笑んだ。
「ありがとうございます。天文関係は昔から好きなんです。星を見ていると幸せな気分になれるので」
料理を食べ終えたあと、さっそくプラネタリウムを使ってみることにした。ソファに座ってスイッチを入れると、天井や壁全体に夜空が広がった。
「わあ、きれい」
「あ、見てください。シリウスが見えますよ。あっちはオリオン座ですね」
わたしにはよくわからなかったけど、楽しげに解説する薫さんを見ているのが楽しかった。夜空を見上げながら薫さんが言った。
「冬は一年中でもっとも星空がきれいな季節なんです。その理由は、明るい一等星が多いこと、さまざまな色の星が見えること、そして、オリオン大星雲やすばるなど、肉眼でも見える星雲や星団があるからです」
生き生きとしゃべる薫さんを見ていると、このプレゼントをものすごく喜んでくれていることが伝わった。心の中で祥子さんにお礼を言った。
「今度、空気のきれいな場所に行って、天体観測をしませんか? 昔、祖父に買ってもらった天体望遠鏡があるんです」
「はい。行きたいです」
ふいに薫さんの手がわたしの手と重なった。薫さんがわたしにキスをした。とびきり甘くて優しいキスだった。そのまま、ラグマットの上に押し倒されたので、わたしはゆっくり目を閉じた。