紳士な御曹司の淫らなキス~契約妻なのに夫が完璧すぎて困っています
次の週の火曜日、わたしはお休みをもらっていた。
午前十時ごろ、品川駅の通路で待っていると、新幹線の改札口を抜けて、母の初枝がやってきた。
「お母さん、久しぶり!」
「紫、元気にしてた?」
「いつでも元気だよ」
わたしは明るく笑った。母は、父の誕生日プレゼントを選ぶために上京してきたのだ。
「どこに行く?」
「日本橋の百貨店に行きたいわ。もうだいぶ暑くなったから日傘が欲しいの」
「わかった。じゃあ、行こう」
その日は日差しが強かった。
わたしたちは一度山の手線に乗ると新橋駅まで行き、今度は都営浅草線に乗って日本橋駅で降りた。母は、近所の知り合いや親せきの近況を報告しながら、何度も「あんた、いい人ないないの?」と聞くのでうんざりした。
「もう、誰もいないって。ほっといてよ」
「……心配しているだけよ」
「そういうのが余計なお世話なの!」
わたしはむくれたが、高島屋に入ると、母の意識はすぐに商品に向かった。久しぶりに東京に来れたことが嬉しいのだろう。いろいろな品物を見て、化粧品と日傘、そして父のためにスラックスを購入した。わたしも嬉しくなって、一緒に商品の品定めをした。お昼になったので、近くにあるカフェに入り、わたしはタラコパスタを、母はサンドイッチを食べた。そして午後三時過ぎ、電車を乗り継いで川崎駅を目指した。クリスタルロード川崎店内に入ると、まずはヴォーグに向かった。母が一度職場で挨拶をしたいと言い出したのだ。
事前に母が来ると打ち明けてあったので、カウンターでわたしの姿を見つけた店長はすぐに笑顔になった。
「いらっしゃいませ。樫間さんのお母さん。わたし店長の佐倉と申します」
「初めまして、紫の母です。この子がいつもお世話になっています」
「いえいえ、こちらこそ、樫間さんのおかげでお店、繁盛してるんですよ」
「まあまあ、それはありがたいことで」
母は、お店の周りを見ると感嘆のため息をついた。
「きれいなお店ね」
わたしはほっとした。これでネイリストはやくざな商売と思い込んでいる母の認識を変えることができそうだ。
「娘をよろしくお願いします」
午前十時ごろ、品川駅の通路で待っていると、新幹線の改札口を抜けて、母の初枝がやってきた。
「お母さん、久しぶり!」
「紫、元気にしてた?」
「いつでも元気だよ」
わたしは明るく笑った。母は、父の誕生日プレゼントを選ぶために上京してきたのだ。
「どこに行く?」
「日本橋の百貨店に行きたいわ。もうだいぶ暑くなったから日傘が欲しいの」
「わかった。じゃあ、行こう」
その日は日差しが強かった。
わたしたちは一度山の手線に乗ると新橋駅まで行き、今度は都営浅草線に乗って日本橋駅で降りた。母は、近所の知り合いや親せきの近況を報告しながら、何度も「あんた、いい人ないないの?」と聞くのでうんざりした。
「もう、誰もいないって。ほっといてよ」
「……心配しているだけよ」
「そういうのが余計なお世話なの!」
わたしはむくれたが、高島屋に入ると、母の意識はすぐに商品に向かった。久しぶりに東京に来れたことが嬉しいのだろう。いろいろな品物を見て、化粧品と日傘、そして父のためにスラックスを購入した。わたしも嬉しくなって、一緒に商品の品定めをした。お昼になったので、近くにあるカフェに入り、わたしはタラコパスタを、母はサンドイッチを食べた。そして午後三時過ぎ、電車を乗り継いで川崎駅を目指した。クリスタルロード川崎店内に入ると、まずはヴォーグに向かった。母が一度職場で挨拶をしたいと言い出したのだ。
事前に母が来ると打ち明けてあったので、カウンターでわたしの姿を見つけた店長はすぐに笑顔になった。
「いらっしゃいませ。樫間さんのお母さん。わたし店長の佐倉と申します」
「初めまして、紫の母です。この子がいつもお世話になっています」
「いえいえ、こちらこそ、樫間さんのおかげでお店、繁盛してるんですよ」
「まあまあ、それはありがたいことで」
母は、お店の周りを見ると感嘆のため息をついた。
「きれいなお店ね」
わたしはほっとした。これでネイリストはやくざな商売と思い込んでいる母の認識を変えることができそうだ。
「娘をよろしくお願いします」