紳士な御曹司の淫らなキス~契約妻なのに夫が完璧すぎて困っています
 四日後、職場に出勤すると、カウンターにいた店長と小沢さんが真剣な顔で、ノートパソコンの前で話し合ってた。


「おはようございます」


 わたしの登場に二人がぎくりと顔をあげた。


「どうかしたんですか?」


 すると互いに顔を見合わせた店長と小沢さんが頷き合う。店長が言った。


「隠してもいつかは知られちゃうと思うから言うわ。これを見て」


 それはヴォーグに行った人の感想が書かれたサイトだった。

 わたしはぎょっとした。

 だら主婦
 ――ヴォーグのkさんに施術をしてもらったら恋が叶うなんて大嘘です。むしろ私は恋人を寝取られました。

「え?」


 わたしはびっくりした。誰かの彼氏を寝取った覚えなど一度もないからだ。しかも、一応婚約しているし、わたし容姿はどこを取っても平凡なのでそんなことできるはずもない。するとわたしの気持ちを代弁するように言葉が続く。

 スナイパーS
 ――え、でもkさんはそんなことしないでしょ。

 だら主婦
 ――ああなんか結婚するらしいね。どうやって結婚までこぎつけたのかな? こわーい、こわーい

 ネットでわたしの個人情報が漏れでていることにぎょっとした。

 スナイパーS
 ――結局、Kさんを貶めたいだけでしょう? 根拠のない嘘をつくのはどうかと思う。

 だら主婦
 ――人は見かけによらないってよく言うじゃない? ああいういい人ぶっている人が一番裏で何をやっているのかわからないよ。

 コロボックル
――それはありえる。

 スナイパーS
 ――そもそも恋が叶うなんて噂を鵜呑みにするなんてありえなくない? 恋愛って結局個人の努力次第でしょう?

 コロボックル
 ――たしかに。

 スナイパーS
 ――どうせ自分が男に振られて、当てつけで書いているんじゃない? 

 投稿はそこで止まっていた。





< 61 / 119 >

この作品をシェア

pagetop