宵闇の光
何か、同情や憐れみ以上の別の感情が、アディの内側を満たしつつあった。もっと切実に胸が締め付けられるような、切なさを伴う思い。
その気持ちが何なのかと深く考えるより先に、落としてしまった布の土を払い、彼女に向けて手を伸ばす。一度は止まっていた汗が、再び彼女の顔から流れ落ちていた。
こうやって汗を拭ってやる以外、今は何もできないのだろうか……何とか、少しでも楽に休めるようにしてやりたい。そう思った時、ある考えが浮かんだ。だが即座に否定した。余計なことはしないと言った約束を、早々に破棄してしまうことになる。
……しかし。先程薬を飲んだ時でさえ、彼女は水を口にしなかった。水袋の残りから考えて、逃げてくる途中にもそれほど飲んだとは思えない。
汗をかく方が熱を下げる上では都合がいいが、このまま水分を取らない状態では、脱水症状を起こす危険性も出てくる……
アディは意を決した。絶対に、余計なことは思い浮かべるなと自身に警告して。
自分の水袋から、口半分ほどの量を含み、横たわる彼女の上半身を起こして左腕と膝で支える。心持ち仰向けた形に頭を固定し──唇を合わせる。
一瞬でもむせたりしないよう、慎重に、彼女の口の中に水を移した。少しの間の後、喉がこくりと動いて水が落ちていく。さらに間を置いてから、残りをまた少しずつ含ませる。それを水袋の中身がなくなるまで繰り返した。
──唇の熱さや柔らかさには気を取られるなと、繰り返し言い聞かせながら。