2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」
私は無惨な死骸を連想してぎょっとしたが…こんなに美しい羽毛は…人の手が加わった加工の物に違いないと…両腕の鳥肌を摩りながら部屋の奥へ視線を向ける。

クッション、マットレス…ソファー…どれも正解で、目を凝らすと暗闇の隙間から残酷にも切り刻まれた、それらが見えた。

憎しみ?

嫉妬?

不安?

……歪んだ、愛?

それらはキッチンにあった普通の包丁が凶器となって、見事に引き裂かれて…突き立てられていた。

雪が積もったような部屋に、腰が抜けそうな程の恐怖を感じて…私は廊下を這いながら玄関へと戻った。

ここから…逃げなきゃ。

本能でそう思った。

この部屋を、この惨劇にした人間の狂いざまを想像して。たぶん鉢合わせたら…

殺される。

滅多刺し…だよ。

真っ白い粉雪のような羽毛に鮮血が飛び散る
…はず。
< 119 / 356 >

この作品をシェア

pagetop