2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」
玄関で腰が抜けたまま、へたり込んでスマホを耳に当てる私の背後。

目の前の入口のコンクリートには私が脱いだローファーが散らかっているだけ。

だから…彼女はその厚くて高いヒールの靴を履いたままリビングから出てきたのだ。

私は冷たく響く彼女の声に、咄嗟に背中を壁に押し当てて、できる限り両膝を引き寄せて身体を縮ませた。



引き裂かれる…かも。

散らばるあの羽毛みたいに…私も。



「ハル?ハルっ!!おいっ?聞こえる?」

手元から滑り落ちたスマホから、スゥの緊迫した声が聞こえる。


「ハルさん。知ってる…?」

…………!?

私は身体を強ばらせる。

「スゥ君ね…。三次審査、通ったって。」
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