2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」
リュウの目から涙が溢れる。

「アキは俺のことを好きだと言ってくれた…。俺が女だと分かってて、〝私はリュウちゃんとスゥくんが好きっ〟って…。〝リュウちゃんはルアちゃんじゃないよ。リュウセイくんだよ〟って言ってくれた。」

「アキは、そういう子だったよな。
子供だったからこそなのか…それとも大人だったのか…。広くて大きくて真っ直ぐで純粋だった。」

スゥの瞳も潤む。

「初めてだった。俺のことをリュウセイでいいんだよって言ってくれた人間は…アキだった。」

「……そっか…。」

スゥは涙をこぼさないように、瞼を上に向ける。

「なぁ…朱雀。
俺、あの日の前日。
アキがいなくなった…あの日の前の夕方、秘密基地に柿を置いたんだ。」

リュウの目からはポロポロと涙が落ちる。

「朱雀。ごめん…ずっと言えなかった…。
俺たちの秘密基地から少し離れた場所で柿の袋が食い散らかされていたんだ。
爪や糞から…2メートル近いかなり大きな熊だろうって。」

唇の傷に手を当てたまま、スゥは黙って立ち尽くす。

「柿が熊を呼び寄せた。」

私は小さく首を振るが…リュウの2つ目の告白に涙が止まらなかった。

「俺が…アキを殺したのかもしれない…。
朱雀が約束を守れなかったからじゃない…
俺がアキを殺した…。」
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