2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」

scene No.3

…共有か略奪か…

scene No.3

リュウはそっと私をベッドに座らせる。
キッ…ときしむマットレス。

手首を掴むリュウの手のひらは汗ばんで少し乱暴に私を倒して行く。
…そして、シャツのボタンに手をかける。

震える息を堪える私に、リュウは目を逸らしたまま…肩をきつく抱きしめる。

ギュッとされたのも束の間、リュウは身体を離すと自分もシャツを脱ぎ捨てて、半分はだけた私の服を下着ごと落とした。

ベッドの真横のカーテンを隙間なく閉じたリュウは、月明かりを遮断して自分の身体を闇へと落とし込む。

1ミリも光を無くしたこの部屋で温かく触れるのはリュウの胸。

スゥとさほど変わらない鍛えられた胸板。

こんな時に…スゥの身体を思い出すなんて、リュウの葛藤と同様に私も葛藤している。

リュウの胸に唇を寄せて…スゥへの想いも脳裏によぎる。

リュウは利き手に巻いた包帯の先を、口に咥えてもどかしそうに取り払う。

傷の露わになった手で私の髪に触れながら唇を合わせて…何度目かのキスで、「後悔…しない?」と私に聞いた。

リュウとスゥには、幼い頃に刻まれた大きな心の傷がある。
〝後悔〟がどれ程…怖いものかを2人は良く知っている。
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