2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」
私は、男の子が…こんなに泣く姿を見た事がなかった。

やり場の無い…今にも自分で自分を殺してしまいそうな程の彼の涙に…私はかける言葉が見つからなくて…

思わずスゥを抱き寄せた。


未だに、あの日の涙の理由を私は知らない。

どうしても…聞けない。

聞いてはいけない理由がそこにはあると感じたから。

そして…何より


正確に言うなら…スゥは私を抱いた後、涙の理由を誤魔化した。

「また…落ちたから。オーディション。」

嘘。

違う…。

そんなんじゃない。


なんであの時…もっとちゃんと話を聞かなかったのだろう。

聞ける訳…ないか…。

熱りが冷めた後…スゥとやっちゃったことに、大罪を犯した罪人みたいな気持ちになってたから。

弟…じゃんって。

なんで…あんなことしちゃったんだろ。


両親が留守だったから…?
雨音があまりにもうるさかったから?
スゥの涙があまりにも綺麗で…
儚かったから。

違う。

初めてスゥに会った時から…私はスゥのことが…。
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