2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」
私は、堕ちていく身体の快感を悟られまいとリュウの背中にしがみつく。

彼は、押し寄せる波をせせら笑うように私の中を掻き回し…絶対に自分には触れさせない。

「リュウ…私だけ…こんなのズルい。」

「ハル…俺は…俺に生まれて良かったなんて一度だって思ったことが無い。
でも、今は違う。」

リュウは指先に力を込めて…私の胸元を強く吸った。

「ああぁ…
私はリュウだから好き…そのままのリュウだから……
あぁっ…………ダメ…そこは… 」

津波のような大きな波に飲まれて、真っ白に飛んだ頭の裏側でリュウが吐息と共に泣いているように感じた。

私は目を閉じたまま…リュウが脱げなかったズボンのファスナーに手をかける。

私は…

私以上に濡れている彼を…抱きしめる。

「リュウはリュウなんだよ。それ以外のカテゴリーなんて要らない…。」

「愛してるよ…ハル。」

この夜…私の身体は絶頂と幸福を知った。

それは確かに男でも女でもなく…

人間は性への執着と感情の高ぶりが生殖以上に心を満たすものなのだということに気付かされた。

快楽に翻弄される私は自分でも驚く程の声を上げる。
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