2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」
リュウは御守りの表面を、優しくもう一度撫でる。

「俺の身体は正式には女性だから……将来的に子供を授かることなんて…」

そして私の手にそれを置いた。

「絶対…無い。」

アリスさんは、時間が止まったような顔でリュウを見つめる。

「一生だよ。どんなに俺が愛しても…どんなに相手が愛してくれても…本物にはなれない。
それが現実なんだ……。
男として…君を喜ばせることも出来ないし…子供を抱かせることもできないし…」

リュウ…もういいじゃん…

私は、そっとリュウの服の袖を摘む。

アリスさんは、小さくうなづくと…天井に向かって息を吐き出した。

「スゥ君って…ほんとっ!抜けてるよねっ!
恋愛成就と安産祈願…どうやったら間違うわけぇ?
笑っちゃうよね…ホント笑っちゃう…
顔の傷だって…taiga君、呆れたけど…朱雀は憎めないって。
スター性ってきっとそういう感じなんだろうね。
ほんと…
笑うしか…ないよね。」

動揺して話を誤魔化そうとするアリスさんにリュウは
静かに頭を下げた。

驚きを隠せないアリスさんの見開いた瞳が、薄らと赤く、涙目になっている。

私はその目を凝視出来ず…小さくうなづくことしか出来なかった。

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