2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」
「小春がいつもお世話になっております。」
こちらもこちらで私の返事より先にリュウに頭を下げている。

「こちらこそ。いつも小春さんにはお世話になっております。どうぞ、お2人でゆっくりしていらして下さい。」

〝ねーーーー♡ちょっとちょっと小春。イケメン上司じゃん!!しかも優しいっ…♡羨ましすぎるぅ〟

ママが女子高生のように小声で私の肩をつつく。
転校生がカッコいい男子…じゃないんだからっやめてよぉ〜。

「ちょ…ちょっと待っててママっ。今すぐ出るから店の外で待ってて!!」

とにかく、リュウと余計な会話が弾んでしまう前に…私は彼女をここから連れ出す方がいいのではと判断した。

私は神上司のリュウに両手を合わせると母と共に店を出た。

「へぇ〜。東京のサロンなんていうからどんなに立て込んでいるのかと思ったら、こんなにこじんまりしている店もあるのね…。」 

オーナーが愛犬と共に仕事する気ままな店舗…とも言えず、あ…うんそうだね、東京でも田舎な方だしね…なんて適当に会話をする。

「外観、オシャレな店だねーー!!田舎って言ってもやっぱりね〜。でも意外に緑もあるし都会にしてはいい所ね。」
 
とかなんとか言いながらママは少しはしゃいで私の方を振り返った。

ああ…確かに…

私も上京したばかりの頃は、都会で緑を発見したら謎に安心したのを覚えている。
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