２人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」

「朱雀君がね…。お父さんのこと勘繰ってるみたいなの。」

ママは席に着くと唐突に話を始める。
この人のこういうところに、ドキッとしてつい平常心が乱れることがある。

「スゥが……？」
私は慌てて興味の無いように返事をするが、核心をついてくる突然の攻めに面食らっていた。

「スゥ君と何かあった？」
攻撃2回目。
心の体制を整えるために…私はメニューを広げて自分のペースに立て直す。

何かあった？…とは？
ワザとかもしれないが脳天気な質問にイライラしてくる。
何かあった？と聞きたいのはこっちだ。
スゥも私もそれを聞きたい。

「何かあったの？」
「だからっ…っ！！」

私の声が思わず力んでしまった時、お店のアルバイトらしき店員がお水を運んできた。

「ご…ごめん。大きな声出しちゃって。」
「いいのよ。いいのよ。大丈夫っ！」

別に…ママを気遣った訳じゃない。私が私を落ち着かせたかっただけ…
というイライラは口には出せない。
店員は空気を読んだのかさっさと水とおしぼりを置いて立ち去る。

「ねぇ…ママ。単刀直入に聞くけど、私の本当のお父さんは誰なの？」　

「何？突然…………。
言ってなかったっけ…？当時付き合ってた…」

「それって、スゥのお父さんのこと？」

「…………。」

なんで、すぐに違うって言わないの…？即否定ならできる。