2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」
「あっ。はい、できてます!」

私は慌ててワゴンを押してアリスさんの椅子の後ろに配置する。

「ハルちゃん、ブラッシングしといてくれるかな。」

「はいっ。分かりました。」

流青君が鏡越しに私を見てうなづく。

仕事だと分かっていながらも、目が合うとドキッとしてしまう。

流青君の後姿を見届けて…鏡のアリスさんに向き直る。

「ブラッシングしていきますね。」

「滝沢君…桐島さんのことだけ、ハルちゃん…って呼ぶのねっ。」

「えっ…?は…い?」

考えたこと無かったし…今、言われるまで気づかなかった…。

アリスさんは、瞳こそ潤んで…小動物のような垂れ目…けれど挑発するような目つきで私を見る。
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