魔術師と下僕
「わたしはまあ色々あって」とイリヤが説明を端折ると、レンブラントは困惑しきった顔をした。
「レンブラントさんこそ、どうしてここに?」
「ああ、校長の部屋にあった書類で住所がわかったから、ジオルタに嫌がらせをしに来たんだ」
イリヤは困惑しきった顔をした。堂々と言うことなのかわからなかったのだ。
「えっと、一応止めた方がいいんでしょうか……」
「いや、止められてもオレはやるぜ。しかし、あの野郎、不便なとこ住んでんだな」
レンブラントは辺りをきょろきょろ見渡した。
「おいジオルタ! 嫌がらせしに来てやったぞ!」
イリヤには普通に遊びに来た友達にしか見えない。兄弟弟子だし一緒に仕事することもあるし、そろそろ少しぐらい仲良くなったのだろうか。
そう思った矢先、家の中から本当に忌々しそうな声で「帰れ!」と聞こえた。全然仲良くできていないらしい。
「年上に対して失礼だぞ。とりあえず顔ぐらい出せや」
すると、玄関が開いた。そして無表情のジオの顔が半分くらい見えたかと思うと、すぐ閉じられた。
「はい顔出した。用は済んだでしょ。お前が来るだけで嫌がらせなんだからとりあえず帰って」
「待て待て。コーラ買ってきたから飲めよ」