魔術師と下僕

「わたしはまあ色々あって」とイリヤが説明を端折ると、レンブラントは困惑しきった顔をした。

「レンブラントさんこそ、どうしてここに?」
「ああ、校長の部屋にあった書類で住所がわかったから、ジオルタに嫌がらせをしに来たんだ」

 イリヤは困惑しきった顔をした。堂々と言うことなのかわからなかったのだ。


「えっと、一応止めた方がいいんでしょうか……」
「いや、止められてもオレはやるぜ。しかし、あの野郎、不便なとこ住んでんだな」


 レンブラントは辺りをきょろきょろ見渡した。


「おいジオルタ! 嫌がらせしに来てやったぞ!」


 イリヤには普通に遊びに来た友達にしか見えない。兄弟弟子だし一緒に仕事することもあるし、そろそろ少しぐらい仲良くなったのだろうか。

 そう思った矢先、家の中から本当に忌々しそうな声で「帰れ!」と聞こえた。全然仲良くできていないらしい。


「年上に対して失礼だぞ。とりあえず顔ぐらい出せや」


 すると、玄関が開いた。そして無表情のジオの顔が半分くらい見えたかと思うと、すぐ閉じられた。


「はい顔出した。用は済んだでしょ。お前が来るだけで嫌がらせなんだからとりあえず帰って」

「待て待て。コーラ買ってきたから飲めよ」

< 119 / 168 >

この作品をシェア

pagetop