魔術師と下僕
目覚めたジオはイリヤが自分をじっと見ているので、不審げに「何?」と尋ねた。
「いえ、なんでも!」
と言いながらスケッチブックを抱え込むイリヤ。これではスケッチブックになにかあると丸わかりだ。
「何描いたのさ。見せてごらんよ」
「なんでもないです、本当に」
「なんでもないなら見せられるでしょ」
「だめです、見せられません」
ぶんぶんと首を振るイリヤを、ジオは意地悪そうに「下僕が主人に逆らう気?」と追い詰める。
そう言われると弱いイリヤは、一瞬スケッチブックを抱える手を緩めた。それを見逃さず、ジオは取り上げる。そしてイリヤに背を向けるようにして、スケッチブックを開いた。
「すみません、勝手に描いてしまって……」
恐る恐るジオの様子を伺うが、ジオは何も言わない。その無言の時間が怖い。
ふーん、なるほどね。そう言って、スケッチブックをイリヤに返した。なにがなるほどなのか……。とおっかなびっくりジオの反応を待つ。
やっぱり怒られてしまうだろうか。
そう思ったが、怒られることはなかった。
ジオはイリヤの方を見ずに言った。
「いいんじゃない。お前、絵の才能あるかも」
意外な反応に、「ほんとうですか!?」と問い返すと。
「うるさいな、『かも』だからね、『かも』!」
と妙に焦ったようにジオは言った。「そろそろ帰るから片付けてよね!」
「は、はい!」
イリヤは自分の手に戻されたスケッチブックを開く。
そこには、二人でサンドイッチを食べるジオと自分の絵があった。
「いえ、なんでも!」
と言いながらスケッチブックを抱え込むイリヤ。これではスケッチブックになにかあると丸わかりだ。
「何描いたのさ。見せてごらんよ」
「なんでもないです、本当に」
「なんでもないなら見せられるでしょ」
「だめです、見せられません」
ぶんぶんと首を振るイリヤを、ジオは意地悪そうに「下僕が主人に逆らう気?」と追い詰める。
そう言われると弱いイリヤは、一瞬スケッチブックを抱える手を緩めた。それを見逃さず、ジオは取り上げる。そしてイリヤに背を向けるようにして、スケッチブックを開いた。
「すみません、勝手に描いてしまって……」
恐る恐るジオの様子を伺うが、ジオは何も言わない。その無言の時間が怖い。
ふーん、なるほどね。そう言って、スケッチブックをイリヤに返した。なにがなるほどなのか……。とおっかなびっくりジオの反応を待つ。
やっぱり怒られてしまうだろうか。
そう思ったが、怒られることはなかった。
ジオはイリヤの方を見ずに言った。
「いいんじゃない。お前、絵の才能あるかも」
意外な反応に、「ほんとうですか!?」と問い返すと。
「うるさいな、『かも』だからね、『かも』!」
と妙に焦ったようにジオは言った。「そろそろ帰るから片付けてよね!」
「は、はい!」
イリヤは自分の手に戻されたスケッチブックを開く。
そこには、二人でサンドイッチを食べるジオと自分の絵があった。