魔術師と下僕
 幼い少年が自分に突きつけるにしては重すぎる言葉だ、と思う。

 ほんとうに。


「なんだそれって感じですね」


 イリヤは困ったように笑った。なんだそれ、だ。ジオのことも、自分のことも。

 イリヤとレンブラントは結局、家の近所をぐるりと散歩して、戻ってきたかっこうになった。


「ありがとうございます。レンブラントさんとお話しできて良かったです」


 レンブラントは「いいってことよ」と誇らしげだ。そして、「……やっぱりシャワー貸してもらえねえか」と、申し訳なさそうに言った。


「すみません……」イリヤはシャワーを貸してあげることにした。


 帰ってきた彼女を見つけて、ジオは気まずそうに目を逸らすと、どこかへ行ってしまった。

 そのどこかが偶然風呂場だったために、レンブラントとかち合ってしまってまた一悶着あったのだが。
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