魔術師と下僕
 
 ブルーノから友人たちへ、七年生にはならず、魔術とは別のことを学ぶと報告があった。


「正直何するか決めてるわけじゃないけど、あの家からは出たくてさ」


 ブルーノは訊かれる前にさっさと打ち明けてしまった。

 魔術学校は十学年まであるが、三学年、六学年のタイミングで卒業することもできるのだ。ナターリア、ヒルデ、ヴィットリオはこのまま進級することに決めている。


「マジか……。ブルーノがいなくなったら、オレどうしよ……」


 ヴィットリオは半泣きだ。


「なにもヒルデがいるだろーが」

「いやーそれとこれとは話が別よ」

「さみしくなるね」


 とヒルデがぽつりと言い、みんなは俯いてしまった。

 とりわけ、事前に知らされていたナターリアはかなりのショックを受け、ひとしきり泣いたあとの目をしていた。やっと落ち着いていたのにまたさみしくなってしまったナターリアは、「浮気したら許さねー!」とわざとふざけて叫んだが、さみしいのは誤魔化せない。
< 128 / 168 >

この作品をシェア

pagetop