魔術師と下僕

「だから」


 魔術警察はため息をついた。


「罪は罪なんだ。明るみに出てしまえばもうどうしようもない。お前たちが理解も納得もできなかろうと。なあ、ジャック」


 ジャックの首輪に付いている時計の針が猛スピードで回り、イリヤはその動きに目を奪われた。


「おれだって理解も納得もしていない。仕事だから仕方ない。したいかしたくないかでいえば、したくない。仕事は嫌いなんだ」


 魔術警察はジャックの頭を撫でた。


「刑期はおおむね一週間。帰って来られるかどうかは運次第だ。行き先はランダムだからおれに訊かれても困る」

「何が言いたい?」

「わかるだろ? 罰だよ」


 気がつくと、ジオは一人になっていた。

 不気味な魔術警察も、その犬も、そしてイリヤもーー一瞬にして、姿を消してしまったのである。
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