魔術師と下僕


「ーーで」


 そして今、四つのガラスケースの中に一匹ずつーー合計四匹のカエルが集まっていた。
 ケースの隅で震えるカエル、落ち着きなく跳ねているカエル、眠そうなカエル、ジオをじっと見つめるカエルーー。

 ジオが必死の思いで庭から捕まえたカエルは、どれもイリヤのような気がするし、どれもただのカエルのような気がした。

 家から追い出したあのカエルがイリヤだったのだろうが、苦手な生き物の顔などまじまじと見ないので、思い出そうにも思い出せない。

 試しに「イリヤ」と呼んでみたら、三匹ぐらいがケロケロクワッ! と言ったので、全身に鳥肌が立った。

 ジオはほとんど失神しそうになりながら、


「この中にイリヤがいたら跳んでみて」


 と言った。
 すると一匹が控えめに二回、跳ねた。


「お前がイリヤ?」


 そのカエルはまた、二回跳ねた。
 元に戻す方法は絵本に描いてあった。しかし、確証が持てない状況でそれを試すのは、精神的に厳しいものがあった。
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